昭和六二(一九八七)年、旧建設省のお役人は、「更地のままの土地をそのまま放置しておくのは経済的に非効率」と理屈をつけ、官民で更地を購入しビル建設を促進するための組織、民間都市開発機構を設立した。旧建設省の天下り先がまた一つ増えただけという見方もあったが、私はそこに、官僚のしたたかな戦略を思わずにはいられない。彼らは、日本の地価はまだ、世界的な見地から見て高すぎると考えている。ビルを建てれば建てるだけ賃料が安くなり、地価が下がることを十分理解している彼らは、国民が「ビルを建てると地価が値上がりする」と勘違いしていることを利用し、いかにも地価を上げるために努力しているフリをしながら、地価や賃料を下げるためにビルを必死に建てているのではなかろうか。旧国鉄跡地などがすでに売却されてしまったいま、地価が下がったほうが国土の再建・再開発をするには何かと都合がよいからである。
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