二〇〇七年と二〇〇九年には、実際にスクワッティング活動に参加させてもらった。空き家になっていることを確認すると二〇人からの集団で、バールでドアをこじ開けて押し入り、急いでベッドやテーブル、椅子を運び込む。オランダの慣習法では、家具を持ち込んで一年間居住した事実が証明できれば、居住権が発生するというのだ。実際、アムステルダムにはこのようにして取得されたスクワットが多数存在する。一九七〇年代から一九八〇年代にかけてヨーロッパを席巻した大規模スクワッティング運動は、アムステルダムで最高潮に達し、市内の建物の三割が占拠されたといわれている。
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二〇〇九年時点の印象では、現在のスクワッティングの中心は、ヨーロッパ中からアムステルダムに集まる二〇代の若者で、それに七〇年代、八〇年代の運動に加わっていた四〇代、五〇代の活動家たちがアドバイザーとして参加しているという状況だった。土地所有権に対する保護が厚い日本からみると、これは不当に土地の競売価格を引き下げる占有屋のイメージに重なってしまう。だが、そもそも建物の寿命が短いスクラップ&ビルドの国日本とは違って、数百年前から建っている建物の内装を直して住んでいるヨーロッパ人にとっては、自分たちの街の自分たちの建物に自分たちが住めないのはなぜなのかという感覚は当然のことかもしれない。