梅雨寒の東京の、ある週末、岩波ホールでは『痴呆性老人の世界』が、また、銀座のポケットパークでは「らくらく道具展」が多くの人たちを集めていた。テーマとともに、そこに集まった人々の年代からも、高齢化社会がやってきたことが実感されたのだった。〈高齢化時代〉とは、高齢化社会の時代ということであろう。高齢化社会の次には、老年人口比率がほぼ一定の高率のまま継続する社会の到来が予測されており、これは〈高齢社会〉と呼ばれる。
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一九七〇年には七パーセントに達し九日本の老年人口比率は、二〇二〇年には二二パーセントという、いまだにどこの国も経験したことのない高率に達して高齢社会を迎えると予測されている(一九九一年にはさらに二五パーセントと修正された予測値が発表されている)。したがって、一九七〇年から二〇二〇年頃までの約五〇年間が、ここでいう高齢化社会ということになる。すると、すでにその三分の一は経過したことになるのだが、高齢化は、この時代の残りの期間にさらに加速度的に進行するとのことである。また、地方の市町村においては、すでに二〇パーセントを超える高齢社会も出現しているのである。この例のない速度と、例のない到達率の高齢化が、さまざまな社会的問題を生んでおり、それに対する対応は部分的なものにとどまらず、全体的・根本的であることを必要としている。老人問題という問題のとらえ方が、高齢化社会というとらえ方に変わったことも、このことを示すものである。住まいについても同様の状況にある。さらに高齢化時代については、一人ひとりが長生きをする時代という、もうひとつの見方が成り立つだろう。